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建築・まちづくり・コミュニティデザインの学芸出版社です。最新情報をお届けします。

『市街地再開発』5月号で『ストラスブールのまちづくり』紹介

書評

全国市街地再開発協会『市街地再開発』505号(2012.5)で『ストラスブールのまちづくり』の書評記事を掲載いただきましたので、同協会のお許しを得て転載します。

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 本書に推薦の言葉を寄せている京都大学名誉教授・青山吉隆氏の言葉を借りれば、「ストラスブールはまちづくりの聖地のような都市である」。そのストラスブールのトラムを活かしたまちづくりに最も詳しい日本人による著作が、本書である。

 著者の藤井さんは、長年欧州で通訳・ビジネスコンサルタントとして活躍されている方だが、多数の日本からの視察の受入を担当する中で、交通政策への関心を深めていったという。ストラスブールの交通政策に関する専門的な研究報告の類は勿論多くなされているが、本書のように生活者としての視点から総合的に語った本は例がなく、特にまちづくりが専門でない人にも読みやすい内容となっている。

 本書では、典型的なクルマ依存社会だったストラスブールが、いかに自動車の流れをコントロールする世界最先端の交通政策を採用し、歩行者・自転車・公共交通優先のまちなかを実現するに至ったのかが、関係する市長・専門家・市民の声を織り交ぜながら紹介される。交通政策の背景に一貫して流れる考え方や、「コンセルタシオン」と呼ばれる地域住民との合意形成の手法、トラムを軸にしたコンパクトなまちを実現していく経緯など、日本の現状と比較しながら読むと参考になることが多い。特に、何百回と開かれ、市の責任者が市民と直接議論する「コンセルタシオン」と日本の「○○審議会」「住民説明会」「ワークショップ」を比べれば、我々の「民主主義」がいかにお粗末な模倣品に過ぎないかを痛感させられるに違いない。

 まちづくりの大きな要素の一つは、「増えすぎた自動車をどう扱うか」である。この問題への一つの解答を提示している本書は、「まちづくりの入門書」としても最適なものとなっている。

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