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建築・まちづくり・コミュニティデザインの学芸出版社です。最新情報をお届けします。

藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?

書評

◎おすすめの一冊

藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?

藻谷浩介・山崎亮 著

四六判・200頁・定価1470円(本体1400円)
ISBN978-4-7615-1309-2
2012-07-07

■■内容紹介■■ 
私たちが充実した暮らしを送るには"右肩上がりの経済成長率"という物差しが本当に必要なのだろうか。むしろ個人の幸せを実感できる社会へと舵を切れないか?日本全国の実状を知る地域エコノミスト藻谷浩介とコミュニティデザイナー山崎亮の歯に衣着せぬ対談からヒントを得る!

http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

○読者レビュー

ここ数年「幸福論」がさかんだ。それらの多くは「経済と幸せは必ずしも比例しないよね」という割と曖昧な話である場合も多い。白状すると、僕は本書を読む前はこれもそうした曖昧な話ではないかと思っていた。実際この本は「成長が必要」なのかという問いに対して、経済の定量分析や新しい社会システムの話をふまえて究極的な答えを導き出す、というものではない。本書はこの問いの基本的な前提になる「価値観」「視点」についての議論であり、根本的かつ極めて重要な洞察に満ちた本である。

まず藻谷氏は経済成長の必要性を否定していない。ただ、成長は目的でなく手段であって、本来目指すべきゴールをきちんと設定しないとおかしなことになるのだと強調する。「外からもらうお金なしで自立できない島は、撤退すべきなのか?」と問いかけた上で例えば「会社には、さほど儲かっていなくてもウツになった人が直るための職場も必要」と例える。確かに僕らは「稼げもせず家族もいないお爺さんは死んでいい」とは思わない。経済合理性による判断を積み上げていくと、僕らが日本に住んで日本語を話していてはいけないという話にまで行き着いてしまう。個人に置き換えれば、収入アップだけを考えて努力した結果、人生つまらなかった、という話もあるだろう。そしてあとがきには山崎氏の重要なメッセージが込められている。いずれにせよしっかりと働かないといけない、幸せのあり方は多様だけれど、信頼関係をつくるのも金を稼ぐのも楽じゃないのだと。

ではそうした価値観・視点をふまえた上で、国全体として持続的成長なくして都市や地域の貧困は避けられるのか、アジアの急成長は僕らにどのような影響を与え、我々はどう立ちまわる必要があるのか。これらはこの先の議論である。しかし本書に込められている投げかけを経ることなくそうした課題に立ち向かっては、大きな誤謬を生んでしまうように思えるのだ。数多くの現場を見た2人の肌感覚があってこその説得力がここにはある。楽しくもシリアスな掛け合いを存分に楽しめる一冊だ。
(㈱スピーク共同代表/東京R不動産ディレクター/林 厚見)

○書店からのメッセージ

久しぶりに、良いビジネス書を読みました。
経済書としてはここ数年で一番の本だと思います。
多分、日本の現状を一番正確に捉えているビジネス書だと思います。
本書に指摘の不景気の現状と、店の売上状況もリアルに一致するし、山崎さんの地方の町おこしも目からうろこでした。
この二人を対談させるなんて学芸出版社さんはいい本を作りましたね!
最近はビジネス書=自己啓発本で残念な感じなのですが、これは本当に読者に読んでほしい良書です。
今、藻谷さんの『デフレの正体』を読んでいます。
しばらく追っかけていこうと思います。
(パルナ書房(京都)/久野敦史さん)

この本で書かれているキーポイントは ・私たちが充実した暮らしを送るには「右肩上がりの経済成長率」という物差しが必要であるということを思い込まされている。 ・経済的指標と人びとの幸せとの関係を考えてみると、幸せは計るものではなく、実感するものである。 ・成長せずともトントンであればストックが維持できる。ストックがある内に、各人が持つ「しあわせの生態系」をうまく組み立て直す必要がある。 です。お金やモノを豊かに持つことが本当に第一義なのか、特に若者が家や車に固執しない、世の中がシェアの方向へ進む中、経済と幸せの関係を再確認する。
(井戸書店(神戸)/森忠延さん)

当店では良書をじっくり売っていく方針です。
この本も、一見ベストセラー狙いに見えますが、実はじっくり売っていくべき本ではないでしょうか。
年末までにブレイクしますよ・・・。予言が当るよう、がんばります!
(蔦屋代官山店/北川さん)

○担当編集者より

“世の中の平均値がどうであろうとあなたには関係ない。それはなぜか?”
当日の対談は中盤(本では80ページあたり)からクライマックスを迎え、気づけばお二人に励まされ興奮したまま終わりを迎えていました。
その後の本づくりは…「まえがき」「あとがき」のとおり難航したのですが、その間、藻谷さんの人となりや考えに触れる機会が増えたことは幸運だったと思います。
草の根で活動する地域づくり関係者への敬意を根底に、(経済畑の一部の人たちへ喧嘩を売りながらも…)社会は少しずつ前向きに変えていけると説く藻谷さんの語り口にはいつも魅了されます。「地べたを歩き回ってます」と(藻谷氏)自ら言われるように、日々全国を駆け回るお二人の、現場からのメッセージを、なるべくその魅力と迫力を損なわずに伝えたいと思いながらつくりました。(井口)

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