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建築・まちづくり・コミュニティデザインの学芸出版社です。最新情報をお届けします。

社会学者・開沼博さんによる『若手知事・市長が政治を変える』の書評が読売新聞(7/7)に掲載されました。

社会学者の開沼博 氏 書評(読売新聞7月7日)
『若手知事・市長が政治を変える』(嘉田由紀子+未来政治塾編)

〈書評文〉
 選挙ではどの候補も各々の仕方で「新しさ」や「何かやってくれる感」を演出する。しかし「新鮮さ」のイメージがいくら肥大化しても変わらぬことがある。議席を見ても発言力を見ても、国・地方問わず日本の議会は圧倒的に中高年男性のものだという現実だ。
 本書に出てくるエピソードが象徴的だ。ある地方議会で「就学前の子の面倒は家でみるべきだ。保育園を公的に補助するのはおかしい」という議員の発言が拍手で迎えられたという。そういう価値観の中で生きてきた世代がいて議席の多くを占めるのも分かる。だが一方には、不安定な雇用、共働きと離婚率の上昇、労働人口減少の中で、単純に「そうですね」とも言えない子育て世代の思いもある。しかし、その声が政治に反映される機会は少ない。
 本書には、30代・40代の現役知事・市長ら6名の思いが綴られる。政治の世界では若さや実績の無さもまた強みとなる。本書でも、“最年少”や“新人”に必ず投票する人々の“基礎票”の存在が指摘されている。だが、「新鮮さ」だけを軸に多数派を作り自分たちの思いを形にすることは容易ではない。だから彼らはそれができる首長に挑んだ。
 31歳4か月で千葉市長になり、現在2期目に入った熊谷俊人は「精神論ではなく、生き残るためにこれしかない」と、地方自治における少子化対策子育て支援・女性の就労促進の重要性を説く。尼崎市長の稲村和美も夫・娘と3人で暮らしつつ証券会社に勤務していた経験を生かしながら市政に取り組む。もちろん、まちづくりや産業振興への目配りも忘れない。皆、「10年後も、30年後も生きているだろう」というリアリティと、「しがらみの無さ」を意識しながら政治に挑んでいる。
 先月も岐阜県美濃加茂市で28歳の現職最年少市長が誕生した。今後も若手首長・議員は生まれ続けるだろう。彼らが思い描く未来をもっと聞いてみたくなった。

http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-1327-6.htm

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