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gakugei_today

建築・まちづくり・コミュニティデザインの学芸出版社です。最新情報をお届けします。

海外で建築を仕事にする 世界はチャンスで満たされている

◎海外で建築を仕事にする
 世界はチャンスで満たされている

前田茂樹 編著

四六判・272頁・定価2520円(本体2400円)
ISBN978-4-7615-2555-2
2013-08-01

http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/back/2238.htm

■■内容紹介■■ 

世界と渡り合う17人の建築家・デザイナーのエネルギッシュなエッセイ。A.シザ、H&deM、D.アジャイ他、大建築家達との面談、初の担当プロジェクト、ワーク&ライフスタイル、リストラ、独立、帰国…、建築という武器と情熱があれば言葉の壁は関係ない。一歩踏み出すことで限りなく拡がる世界を見た実践者から若者へのエール。

○17人の友達

 この本には、自分の直感を信じ、自分の足で日本を飛び出して、自分の手で仕事をしてきた(いる)17人の建築家の物語が詰まっている。タイトルにもあるように、ひとことで「海外」といっても、北はフィンランド、南はチリと世界中に日本人は出向いているようだ。17人の著者たちが建築と共に送っているそれぞれの特別な人生の輝かしい時間が、行間も含めて、本書からにじみ出ている。読み進めていくと、全員に共通する構造が見え隠れする。
 それは、あらゆる局面において責任をもって自らの選択をしていることと、楽観的な想いを胸に惜しみない努力を重ねることで、人生を心底楽しんでいる(エンジョイ・ライフ)ように見えることである。勇気をもって選択された道というのは、いつも大きな不安と隣り合わせなものであるが、そうした不安や立ちはだかる壁が高ければ高いほど、乗り越えた時の達成感は、ひとしおだ。これは、自分ひとりでできることではなく、自分のおかれた環境によるところが大きい。「海外」であるからこそ、人は言葉や文化の違いをエネルギーにして、他者と対話する能力を身につける。広い意味での「コミュニケーション能力」は、建築家にとって最も大切な武器のひとつである。
 ポルトガルの巨匠の下で働くことや、ベトナムで日本人が独立すること、インドで働くことなど、建築の世界は、じつに多様な可能性を秘めている。私もドイツ・ベルリンの設計事務所で4年間働いた者として、本書の執筆と編集を担当している前田茂樹さんの言葉に、強く共感する。
 「ドアをノックしなければ、始まらなかった」。きっと、きっかけなんか、どうでもいいのだろう。ただただ目の前にあるチャンスに対して素直に反応し、ひとつひとつのことに全力投球することで、自分でも想像できなかった明るい未来を切り開くことができる。そんなことをこの本は、ストレートに伝えてくれる。
 読み終わった頃には、頼りがいのある17人の友達ができたような清涼感を覚えた。そして、日本人としてこれから建築の世界でいかに活躍していくのかがすごく楽しみになり、勇気づけられた。海外に残って仕事を続けるにせよ、日本に帰国して独立するにせよ、彼ら彼女らのこれから先の長い人生において、それぞれのかけがえのない生身の実体験がいかに魅力的な建築へと結晶化されていくのかが本当に楽しみでならない。同じ建築家である私にとっては、先ほど「友達ができた」ようだと記したが、「良きライバル」を得たのかもしれない。
(建築家/光嶋裕介)

○狭そうに見えて狭くない本

 「海外で建築を仕事にする」とは、なんと門戸の狭い本をつくったものか。「建築を仕事にする」だけでも十分狭いと思うのだが、さらに「海外で」と付いている。いったいどんな人が手に取ることを想定したのだろうか。売れる本をつくりたがる出版社なら決して渡らない危険な橋を渡って僕たちの手元に届いた本、というのが第一印象だ。
 ところがそう思って読んでいたらとても楽しく、どんどん読み進んでしまった。
 読んでみて興味深かったのは以下の3点だ。一つ目は言語を介さないコミュニケーションについて。登場する17人の建築家は、外国語が理解できなくても海外で建築の仕事ができている。図面や模型が世界共通語であることに救われているわけだ。改めて建築設計のツールとは偉大なものだと感じる。二つ目は独立当初の苦労について。これは国内で独立する人にも参考になる。当然のことながら、事務所を立ち上げた当初はほとんど仕事が無いのだが、その状況をどう乗り越えたのかという工夫はとても参考になる。三つ目は海外の設計事務所におけるマネジメントについて。スタッフの数、年商、労働時間(残業がほとんどないこと)、昼休みや夏休みの過ごし方、週末のパーティーなど、事務所のマネジメントについて参考になる点が多い。
 僕は大学時代にメルボルン工科大学に留学し、建築・ランドスケープ設計事務所に就職し、その後に独立してstudio-Lというコミュニティデザイン事務所を設立した。したがって、本書に登場する海外でのコミュニケーションや独立時の苦労などを懐かしく読むとともに、海外の事務所におけるマネジメントから自分の事務所の経営に関するヒントを得ることができた。
 そう考えると、本書はきわめて門戸の狭い書籍のように見えて、実はさまざまなヒントを読み取ることができる内容なのだということがわかる。しかしこれは読んでみた結果わかることである。ぜひとも「海外」「建築」「仕事」という言葉に惑わされずに本書を手に取り、そこから多くのヒントを絞り出してもらいたいものだ。
(studio-L/山崎亮)

○担当編集者より

各国から届く原稿はどれも一気読みしてしまいました。自由に、覚悟して生きている人の文章はそれぞれにスタイルがあって面白い。執筆者の正直で、感情的で、誇り高い孤軍奮闘ぶりは、建築に対して志高い人にも、あるいは多いに迷っている人にも、それぞれに味わい深く伝わるのではないかと思います。 前田茂樹さんが言うように、“人生をクリエイトする自由は誰もが持っている”。日本に居ても、それを実感しながら生きて行きたいです!(井口)

制作期間中は毎日頭の中は世界中を旅していました。頁をめくる度に、入れ替わり立ち替わりあらわれる様々な風土、そこでの暮らしと共にある建築の面白さを追体験できます。またこの本は、一歩を踏み出すことができた人の迷いのない言葉で溢れていますが、たくさんの葛藤や苦悩が垣間見えるからこそ、一歩踏み出せないでいる人にとっては、どきっとさせられる言葉の連続です。でも読んだ後はきっと知らないうちに元気になって、自分なりの一歩を踏み出したくてたまらない気持ちになることうけあいです。(岩切)

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